デジタル変革(DX)を学ぶ

2025.01.15 14:15

連載◎画像生成AI入門/第1回
画像生成AIとは何か? 種類と特徴を解説

 前回の連載「Copilot in Windowsから始める“生成AI”入門」では、テキスト形式の成果物を得ることを目的に、生成AIの使い方や効果的なプロンプトの出し方などを全8回で解説しました。生成AIが出力できるものは、テキストだけではありません。画像や動画、プログラミングコードなど多岐にわたります。

 そこで今回からは、「画像生成」をテーマにした短期連載をお届けします。生成AIはどのような画像を生み出すことができ、それらをどうビジネスに活用できるのか。

 初心者でもできる簡単な使い方から活用例まで解説していきます。第1回となる本稿では、「画像生成AIとは何か」「何ができるのか」など、主要な画像生成AIツールを紹介すると共に、その概要を紹介しましょう。

画像生成AIの特徴とは

 画像生成AIとは、文字通り画像を生成する機能を持ったAIのことで、基本的な仕組みはテキストを生成するAIと同じです。画像生成AIがテキストによるユーザー指示(プロンプト)を理解し、AIが学習している画像のパターンを組み合わせて、ふさわしいと判断した画像を生成します。

 以前の連載で、「生成AIの正体は巨大なパターン認識・出力装置である」と解説しましたが、これは画像生成AIについても同じです。テキストを生成するAIでは文章形式で回答が示されますが、それが画像に切り替わっただけといえます。

 画像生成AIによって生み出された画像は、AIがこれまでに学習したパターンの組み合わせであり、完全オリジナルなものではありません。そのため、画像生成AIの種類によっては、成果物の商用利用に制限がついている場合もあります。ビジネスに画像生成AIを使う場合、まずはそこに留意することが大事なポイントといえるでしょう。

主要な画像生成AIの中から6ツールを紹介

 画像生成AIツールには多様な種類がラインアップされています。ここでは主要な6つを取り上げ、その特徴を解説していきます。

掲載内容は本稿執筆時点(2025年1月)の情報に基づく

・Dall-E 3(ダリ 3)
 Open AIが開発した生成AI「ChatGPT」に組み込まれている画像生成AIです。無料でも利用できますが、画像の生成枚数は1日2枚までに制限されています。有料版のChatGPT Plus(月額20ドル/日本円で約3000円)を契約すると、生成できる枚数が大きく増えます。

 商用利用については、「Dall-E 3が生成した画像の権利はユーザーに譲渡される(*1)」ことが公式サイトで明記されており、成果物は商用での利用が可能となります。
(*1)参考URL:https://help.openai.com/en/articles/6425277-can-i-sell-images-i-create-with-dall-e

・Imagen 3(イマジェン 3)
 Googleが開発した生成AI「Gemini(ジェミニ)」に組み込まれている画像生成AIです。無料でも大きな制限なく利用できるのが特徴です。ただし、本稿執筆時点では生成に制限がかかっているようで、人物の描画できないことや、出力できる画像が正方形に限られていることなどが確認されています。

 また、規約に商用利用の可否やガイドラインが明記されていないため、ビジネスで使う場合には注意が必要でしょう。

・Adobe Firefly(アドビ ファイアフライ)
 Adobeが開発した画像生成AIツールです。無料版/有料版が用意されていますが、無料版では月間の生成枚数が制限(25クレジット)され、成果物にウォーターマーク(透かし)が入ります。有料版は、毎月100クレジットで透かしも削除されます。

 PhotoshopやIllustratorなど、Adobeが提供するクリエイティブツールとの連携が可能な点や、映像の生成にも対応している点が特徴といえます。

 豊富なAdobe Stock(*2)の画像や著作権が消滅したコンテンツを学習データとして使っており、商用利用が可能です。また、著作権の侵害リスクの低減にもつながります。
(*2)クリエイティブプロジェクトに利用できるロイヤリティフリーの写真やビデオ、イラストなどを数千万点を厳選して提供するストックフォトサービス

・Canva AI(キャンバ エーアイ)
 ブラウザ上で動作するデザインツールのCanva(キャンバ)に組み込まれたAI機能です。無料でも利用できますが、1アカウントあたりの画像生成には生涯50回の制限があります。有料版のCanva Pro(月額1180円または年額1万1800円)に加入すると、この制限が500回/月までに緩和されます。

 Canva AIによる成果物は商用利用が可能ですが、公式サイトにユーザーが「画像に対して独占的な権利を持っていない(*3)」という旨の記述があることには留意しておきましょう。
(*3)参考URL:https://www.canva.com/ja_jp/help/using-canva-to-create-products-for-sale/#whats-allowed

・Stable Diffusion(ステイブル ディヒュージョン)
 世界的に用いられている画像生成AIです。ブラウザ上では動作せず、ユーザー側で動作環境を構築する必要があります。ソフト自体は無料で提供されているので、PC内にソフトをダウンロードして作動させればコストをかけずに利用できます。ただし、VRAM 12GB以上のGPU(画像演算処理装置/*4)、16GB以上のメモリを搭載したPCが推奨されており、少なくともGPUの搭載は必須です。一般的なビジネス向けPCで動作させることは難しいでしょう。
(*4)関連記事:DXよもやま話◎AI技術を支える「GPU」

 利用をする際には、生成したい画像のテイストに応じてモデル(画像を生成するための学習ファイル)を選択することになります。商用利用については、この際に選ぶモデルによって可否が分かれています。

 また、日本語のプロンプトを使うと画像生成の精度が大幅に下がるため、英語での記述が推奨される点は運用面でのポイントといえます。

・Midjourney(ミッドジャーニー)
 コミュニケーションツールのDiscord(ディスコード/*5)上でのテキストチャットから画像を出力できる画像生成AIです。日本語のプロンプトには対応していないので、英語での指示が必須となっています。

 無料版はなく、使用するにはプランに応じたサブスクリプション契約(Basic /Standard/Pro/Megaの4つのPlan)を必要とし、ボトムラインのBasic Planで月額10ドル(約1500円)/年額96ドル(約1万4400円)となっています。
(*5)米国を中心に世界で2億5000万人以上が利用するチャットアプリ

 公式サイトには「お客様は、適用法の下で可能な限り、本サービスを利用して作成したすべての資産を所有する(*6)」との記述があり、成果物の商用利用が可能です。ただし、他のユーザーが作成したブロンプトを利用して生成した画像の商用利用は認められていません。また、年間売上が100万ドルを超える企業は、Proプランを契約しなければ商用利用ができません。
(*6)参考URL:https://help.midjourney.com/en/articles/8150363-can-i-use-my-images-commercially

ビジネスで活用するには有料版契約が前提

 主要な画像生成AIを紹介しましたが、ここで一ついえるのは「画像生成AIをビジネスに活かす(商用利用する)ためには、サブスクリプション契約をはじめとした有料版の利用がほぼ必須になる」ということです。

 Dall-E 3やCanva AIでは無料版でも商用利用できるとはいえ、生成できる画像の枚数が厳しく制限されています。そのため、望むクオリティの画像を入手するために試行錯誤をするとなると、数日間もの時間をかけたり、アカウントを作り直したりといった手間がかかります。

 無料で幅広く使えるImagen 3は、商用利用に関する規約が明記されておらず不安があります。また、Stable Diffusionは、ツールそのものは無料ですが、画像生成AIをローカル環境で動作させるためにはPCに高いスペックが要求されます。初心者にとっては、ハードルが高いでしょう。

 こうして見てくると、やはり日常的なビジネスで画像生成AIを活用することを考えれば、有料版契約が前提といえるでしょう。コストがかかっても、画像生成AIは世界的に広く利用されています。というのも、一定のコストを払ってでも「使う価値がある」と認められているからです。

 次回からは、画像生成AIでどのようなことができるのか、日本語のプロンプトに対応しAIとの対話を通じて画像を生成できるDall-E 3を用いて、その作例とともに紹介していきます。
 

ここがポイント!
●基本的な画像生成AIの仕組みはテキスト生成AIと同じ。
●画像生成AIが生成した画像は完全オリジナルのものではないため、商用利用が制限されている場合がある。
●ビジネスに画像生成AIを活用する場合、サブスクリプション契約などの有料版導入が前提となる。
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