2026年4月8日から10日にかけて、東京ビッグサイト(東京国際展示場/東京都江東区)にて「現場DX EXPO」が開催されました。
現場DX EXPOは、ITやデジタル・トランスフォーメーション(DX)の総合展示会「Japan IT Week/Japan DX Week春2026(主催:RX Japan)」を構成する展示テーマの一つです。工場の生産現場や建設、物流倉庫などの分野を中心に、現場で働く人たちの業務や働き方を改善・変革する製品やサービス、ソリューションが一堂に会する場として前年に初開催されました(関連記事:初開催!「現場DX EXPO 2025」を徹底レポート)。今回が2回目となります。

昨今は、深刻な現場の人手不足に加え、熟練作業者の高齢化や熟練人材の減少、外国人作業者の増加が一段と進行しています。特に就労人口の多い製造・建設業界の現場では、これらの問題が深刻です。その課題解決に向けてデジタルシフトはもちろん、AIなどの最新テクノロジーを活用し、現場においても業務効率化や省人化・省力化、生産性の向上、現場管理の強化を図ることがますます重要になっています。
新人や外国人作業者、初めての現場に入る派遣作業者などへのスムーズで的確な現場教育、技術や技能の伝承も急務です。このため、熟練作業者などに依存し属人化している作業を、デジタル技術やAIを活用して“脱・属人化”していくことは喫緊の課題となっています。さらに、そうして得られた知識を共通のナレッジとして共有できるようにしていくことも大切です。
こうした背景からか、展示会場では前回にも増して、製造・建設現場向けに現場の大幅な業務効率化や省人化、教育の強化と“脱属人化”を目指す取り組みが目に付きました。また、センサーやネットワークカメラ、監視システムといった設備などの予知保全システムも紹介されていました。
また、現場DXでもAIによるソリューションの高度化はトレンドとなっており、多くの出展者が各ブースにおいてAIを用いた製品やサービス、ソリューション、事例を積極的にアピールしていました。
本記事では、「業務効率化」「脱属人化」「予知保全」をテーマに、AI動向を絡めながら現場DXの最新動向をレポートします。
業務効率化ソリューションが目白押し
現場の人手不足が年々深刻になる中、デジタルシフトやDXにより紙や人手によるアナログな作業が多い現場の業務を自動化し、作業を効率化する取り組みは従来以上に欠かせなくなってきました。
また、作業環境が厳しい現場では作業者の身体への負荷が大きく、その負担を大幅に軽減することで業務効率化を図ることも求められます。特に猛暑日や酷暑日が増加している夏季には、解決すべき喫緊の課題とされています。
とはいえ、現場のニーズは業界や業務内容などによって千差万別であるだけに、展示会場では課題解決に向けて多様な側面からアプローチを図ったシステムが提案されていました。
ウェアラブルデバイスで作業員の負担軽減:Fairy Devices
まず、目に付いたのはFairy Devices(フェアリーデバイセズ)株式会社が展開する現場の作業者向け首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET(シンクレット)」と、遠隔支援ソリューション「LINKLET(リンクレット)」です。
ウェアラブルデバイスなどを通じてAIやITによる支援を受けながら現場作業に携わる者は、「コネクテッドワーカー」と呼ばれ、現場とデータをつなぐ存在として重要性が増しています。同社の製品・サービスは、コネクテッドワーカーの作業負担にならないように、業務フローのデジタル化を支援するソリューションといえます。
例えば、THINKLETは、約170gという軽量な本体と身体に負担をかけない形状が実現されています。実機を装着してみましたが、首にかけていることを完全に忘れるぐらいの感覚でした。
部品構成は一般的なAndroidスマートフォンとほぼ同じで、超広角カメラや高性能なマイク、4G LTEモジュールを内蔵しています。建設現場のような騒音環境下では音声が聞こえにくいといったことも多々ありますが、クリアな集音と高い音声認識性能が、この課題の解決を可能としています。
このツールを用いることで、現場の作業者はハンズフリーで遠隔地の熟練作業者や支援者とリアルタイムで作業状況を共有できます。両手で作業している状況でも、AIが作業マニュアルの読み上げや作業内容の写真/動画を撮ることができます。映像のAI解析も可能です。
熟練作業者が内蔵カメラの映像を見ながら適切な指示を出すことで訓練の質を向上させたり、データの解析結果から熟練作業者の判断内容を学習させた業務支援AIを作成して技能伝承に役立てたりといった活用が検討できそうです。

一方、LINKLETは、THINKLETで共有した一人称視点(First Person View:FPV)の動画や映像を利用した遠隔支援ソリューションです。Zoomをはじめとした映像コミュニケーションツールで遠隔支援やビデオ配信を実現します。
同社ブースでは、このFPV動画をAIで解析し、作業者の行動や状況をデータ化する「FPV動画解析サービス」の体験デモを実施していました。例えば、バッテリー端子のクリーニング作業をAIがFPV動画解析することで、作業者が説明を入れなくとも、AIが作業工程を自動でテキスト化して画面表示します。
「動画とテキストを並列表示させることで、熟練者と新人の作業手順や動きなどの違いがすぐに把握できるのは大きなポイント」と同社の広報担当者。こうしたデータをもとに、AIに学習させて作業マニュアルなどを作成できます。
また、同社はTHINKLETに続くモデルとして、スクエア形状の据え置き型デバイスを開発中とのこと。現場作業者が身に付けるパワーアシストスーツ(*1)に搭載し、“AIパワードスーツ”のような作業着の実現が期待されます。
(*1)作業者の身体的な負担を軽減するために装着する軽量の衣服型ロボット
AIパワードスーツが社会実装されれば、工場や倉庫の作業場にいる人材サービス会社からの派遣作業者にスーツを身に付けてもらい、前出のデバイスを通じて指示を出したり、あるいはAIが状況を判断して次の指示を出したりといったことが可能になるとしています。
この他、THINKLETを首にかけたままでYouTubeを介してライブ配信できるアプリケーションなど、多様なツールやソリューションを紹介。単に製品展示にとどまることなく、同社の製品をバイクやフォークリフトなどと組み合わせるとどうなるのかなど、さまざまな可能性を提案しており、現場DXという観点からも興味深い出展内容となっていました。

建設現場の安全点検の効率化:SORABITO
建設現場の点検業務は紙ベースで行われており、点検表の回収や保管が煩雑なうえ、点検表の一元管理や法令順守などが必要です。このプロセスでは、点検が徹底されていない、点検の抜け漏れに気づかないといった課題が指摘されています。
こうした課題の解決に取り組んだのがSORABITO(ソラビト)株式会社であり、そのソリューションが現場安全点検システム「GENBA×点検」です。
このシステムは、スマートフォンやタブレット端末を用いて現場の点検作業を行い、建設現場のあらゆる点検表をペーパーレス化するものです。重機の始業前点検や足場の点検、作業員の健康チェックなど、現場で日常的に行われる点検から管理業務まで一連の業務プロセスがデジタル化され、紙の点検票の回収や承認の手間が削減されます。
特に、興味を引いたのは現場での使い勝手です。建設機械や重機に貼った二次元コードをスマートフォンで読み取ることにより点検画面が表示され、点検項目や状況をすぐに入力できます。実際、同社によると、重機に二次元コードを貼る使い方が増えてきているそうです。

ブースで説明にあたっていた担当者によると、採用実績は高く、大手ゼネコンをはじめ多くの建設関連の企業が同システムを導入しているといいます。導入効果もなかなかのもので、顧客のゼネコンが同システムによる業務効率の改善状況を調べたところ、1現場あたりの管理業務が従来と比べて97%削減、点検業務で使われていた紙の使用量を1/10にできたといいます。
「日常的に点検作業を行う分野であれば、幅広く活用できる。すでに製造業や運送・物流業界などでも採用してもらっている」(ブースの説明員)とのことなので、建設業に限らず幅広い企業の現場DXを推進するソリューションとして注目できそうです。
クラウドカメラサービス:パナソニックコネクト
パナソニックコネクト株式会社は、現場の映像を活用するクラウドカメラサービス「Cameleo(カメレオ)」を出展していました。同サービスは、固定カメラやスマートフォン、タブレット端末のカメラ機能を用いて製造ラインの監視や作業工程の振り返り、防犯対策、安全管理の強化、トラブル時の情報共有、技能伝承などに役立てることができるものです。
Cameleo以外にも、顔認証クラウドサービス「KPASクラウド」を紹介しました。照合可能な人数を最大100万人まで拡大しながら本人認証エラーを従来比で約60%低減させたサービスです。このクラウドをベースに繁忙な入退場の現場に対応した現場管理向けのソリューションなども紹介していました。
工場や建設現場向けに力を入れる同社は、2025年に開催された大阪・関西万博の建設工事において、株式会社大林組の現場で同社の顔認証システムが導入されており、セキュリティの高度化と効率的な入退場管理が実現できたといいます。
遠隔監視カメラシステムについては、類似の製品・サービスが多数出回っています。同社では「保守・サポート面がしっかりしていることが、当社が選ばれる理由の一つだろう。さまざまな作業者が出入りする現場のセキュリティ対策の面からも、こうしたカメラシステムの需要は増えているのではないか」(ブースの説明員)と語っていました。
資材や部品の効率的運搬:ソミックトランスフォーメーション
自動車部品製造を手掛けるソミックグループ傘下の株式会社ソミックトランスフォーメーションは、作業現場の資材や部品の運搬を効率よく行う作業支援ロボット「SUPPOT(サポット)」を出展しました。
SUPPOTは、不整地での走破性や運搬作業を省力化する機能を装備していることが特徴です。敷地内の工場や倉庫の建屋から次の建屋へ資材や部品などを運ぶ際、凹凸の地面や段差・傾斜のある場所を安全に走行します。
幅広モデルと幅狭モデルがあり、ボディサイズは全長1,114×全幅956(幅広モデル)/606(幅狭モデル)×全高1,229mmとコンパクトな大きさながら積載重量100kg、けん引重量600kgと、なかなかの力持ちです。通常の走行速度は3km/hで、最高速度は無積載で8km/hです。
注目したのは、バッテリーに充電方式ではなく交換方式を採用していることです。「自動充電方式だと充電時間中はロボットを使用できないし、コストもかかる。このため、日中の作業でロボットを使用した後、夜勤に交代するタイミングでバッテリー交換をして、そのまま夜勤の時間帯も使えるようにした」(ブース説明員)とのこと。現場での使用を考えた工夫といえます。
道路の床版工事や建設資材の運搬・管理・加工現場、トンネルの点検現場をはじめ、工場内の部品や完成品の自動搬送などに活用されています。

建設図面に特化したAIソリューション:ビルドAI
建設工事に必要な図面は、内部空間や外観のデザインから各種設備、構造まで実に多種多様です。平面・立体・断面図も必要ですし、現場で使われる建設資材や部材も非常に多岐にわたります。過去の図面を参照するうえでは、社内に多数蓄積されている紙ベースまたはデータの図面を探す手間を要します。
ビルドAI株式会社は、そうした建設図面に特化したAIソリューション「Build AI」を紹介していました。Build AIでは、機能ごとに「数量拾い・積算」「図面検索」「検図・照査」「要件チェック」という4つのAIソリューションが用意されています。
例えば、「数量拾い・積算AI」ソリューションであれば、図面を読み込んでAIが部材の種類や数量を数え上げることで、積算(費用の見積もり計算)業務を大幅に削減可能です。
これらのソリューションを活用することで、図面にかかわる業務時間を大幅に短縮できる他、AIが業務プロセスやノウハウを学習することで属人化の解消や技術の継承にもつながります。
“脱・属人化”では動画やXRに注目
現場の熟練作業者の高齢化や引退に伴い、彼らが経験と勘をもとに身に付けてきた技術・技能の伝承が急務となっています。この領域で用いられることの多い技術といえば、映像でしょう。言葉や紙のマニュアルで説明するのが難しい内容を動画で撮影し視聴する手法は、直感的に理解しやすく、新人や外国人作業者にもきちんと伝わることが大きなメリットです。今回も、そうした脱・属人化を実現するための映像技術を用いた製品やソリューションが数多く並びました。
AI技術の取り込みも一般化しつつあり、例えば動画作成時の自動翻訳や字幕作成機能、教育の進み具合や習熟度を可視化する機能などでは、AIの活用がデフォルト(標準)化しつつあり、動画教育による効果の高い人材育成が可能になっています。
また、メタバース(インターネット上の仮想空間)や、現実世界と仮想世界を融合させた技術であるXRなどを活用し、知識習得にとどまらず体感的に理解できる取り組みも進んでいます。
教育・安全訓練・採用分野で先端技術:エスユーエス
株式会社エスユーエスは、IT・機械・電気電子・化学バイオ分野向けのエンジニア派遣業を中心に、そこで培った技術力をいかし、メタバースやXR、AIなど最先端技術を用いたコンテンツの制作、ITサービスなどを提供しています。
特に、建設・製造業界向けを中心に、教育や安全訓練、採用にかかわる製品やサービスに力を入れており、ブースで取り組みを紹介していました。
建設現場は危険な作業が多く、安全第一が欠かせません。この課題に対して同社のVRシミュレーターを使用すれば、危険な現場に出なくとも、例えば会議室にいながら繰り返し安全訓練が行えるなど、現場教育の効率化に寄与します。
また、XRを用いたトレーニングや製品プロモーション、さまざまな状況でのシミュレーションなども可能です。最近では、メタバースを活用した警察の業務説明や施設紹介などにも、同社の製品やサービスが活用されているケースが増えているとのことです。
とはいえ、予算や人材などの面でリソースが限られている中小企業では、こうしたツールをなかなか導入しにくいのが現状です。これについて、ブースの担当者は次のように語っていました。「例えば、ベンダー側からエンジニアを派遣して、まずはデータの収集・整理段階から始めて、少しずつ業務効率改善やDXを推進していく支援方法が考えられる。当然、我われも、そういう細やかな支援が可能な体制を整えている」。

重機の教育シミュレーターを実機展示:WIZAPPLY
ユニークだったのは、建設重機の教育ソリューションを紹介したWIZAPPLY(ウィザプライ)株式会社です。ブースでは、対話型AIを搭載したリアルタイムシミュレータ「WIZMO-LAB(ウィズモラボ)」を2台実機展示しました。
同社は、DXとXRを組み合わせたモーション連動型のシミュレーターメーカーであり、最新のゲームやエンターテインメント技術を応用したDXシミュレーションシステムを手掛けています。ゲームやエンターテインメント業界向けにとどまらず、さらにドライビングや重機、フライトシミュレーターなどへと展開しています。
WIZMO-LABでも、このモーション連動型の技術をベースに、没入感が高い状態で体感的に覚えてもらうため、地面の状態に応じて重機が揺れるといった作業環境を再現しています。
また、AIが操作データを解析し、熟練者との比較により時間内にどれだけうまく操作できたか、正確性や安定性などを数値化して、操縦者の長所や改善点を評価します。このようなパーソナライズされた技能の分析も行える他、多言語にも対応しています。
もともと同社は、アミューズメント分野から出発した経緯から、楽しく学べるゲーミフィケーション(*2)のシステムを開発できるのが大きな強み。同社のモーションシミュレーターは、防災施設や防衛関連分野などでも採用されているとのことです。
(*2)コンピューターゲームのゲーム要素や仕組みを、ゲーム以外の分野に取り入れ、人の行動や学習意欲を高める手法

現場向けコミュニケーションツール:L is B
コミュニケーションに特化した現場向けツールを手掛けている株式会社L is B(エルイズビー)は、主力のビジネスチャット「direct」や、同チャットで使える2つの業務アプリケーションを紹介しました。
同社のdirectは、“LINEの企業版”というべき、使いやすい国産ビジネスチャットで、1万社を超える企業に導入されているとのことです。
このビジネスチャットで使える業務アプリケーションとして、現場の写真管理システム「タグショット/タグアルバム」と、現場のノウハウを動画で共有する「ナレッジ動画」の2つが紹介されていました。
タグショット/タグアルバムは、定期検査や点検・メンテナンス業務で撮影した写真をタグ付けして簡単に整理できるもの。ナレッジ動画は、スマートフォンで動画を撮影することで、社員の研修や作業の技術継承などのナレッジの共有や検索を実現できるものです。

こうした動画については、作成する側が多くのコンテンツをそろえても、肝心な現場ではあまり視聴されず、「見てほしい人に見てもらえない」というケースが非常に多いことが課題となっています。
そこで、ナレッジ動画では、現場が本当に見たい動画を担当者に直接依頼できる“リクエスト機能”を搭載しました。依頼を受けた担当者は、依頼内容に応じて、新たにコンテンツを作成したり、撮影済みの動画をアップロードしたりといった方法で対応します。
これにより担当者は、依頼者が本当に視聴したい動画を、依頼者と共有できるようになります。新人の作業者や、新規でその現場に入る作業者への教育にも有効で、月額の利用料金は月3万円からと安価に設定されています。
また、「YouTubeのように、当社のdirectにおススメ動画が流れてくるので、そこで興味・関心を引いてもらえるのも大きい。当社のチャットツールと連携し、見てもらうための工夫がなされているのが一番の売りではないか。デジタルシフトやDXへの取り組みが進んでいない地場のゼネコンや中小規模の建設・製造業者に、こうしたツールを紹介すると、興味・関心や引き合いが非常に強い」(広報担当者)とアピールしていました。
ARグラスで現場作業を誰でもすぐに理解可能に:inSane
AIを活用したスマートグラス用ソフトウェアの開発に取り組んでいる株式会社inSane(インセイン)は、“AI×ARグラス”というソリューションを紹介していました。
同ソリューションは、AIとARグラスを組み合わせて視界のすべてをデータ化し、現場で扱われる部品や作業手順を学習した独自のAIモデルにより、作業現場でだれが何をどのように扱っているかをリアルタイムで認識する仕組みとなっています。
さらに、作業マニュアルやノウハウにかかわるナレッジを検索し、作業者のスキルや使用言語、作業環境に応じて、次に必要とされる手順や注意点を提示します。
こうした機能により、作業者はマニュアルを手にしなくても、ハンズフリーで作業に集中することが可能となります。
ブースの説明員によると、「狙いは、新人や新入社員のような初心者でも、ARグラスをかけてその日から作業ができるようになること。できるだけ脱・属人化を図り、だれでもすぐに高品質な作業が可能になることを目指している」とのこと。現在、建設・製造業などさまざまな分野で評価中としています。
資格取得向け学習アプリケーション:HAYA-BEN
人材教育という視点でいえば、資格取得なども注目されています。この分野で目に留まったのが、施工管理技士国家資格の一つである建築施工管理技士の学習アプリケーション「HAYA-BEN(ハヤベン)」のブースでした。HAYA-BENは2級建築施工管理技士の試験対策アプリケーションとして提供され、今回は新たに1級取得向けのエディションが紹介されていました。
開発元の協榮工業株式会社は、ビル用建具の製造・取付や各種建築工事などを手掛ける建設会社です。現場の人手不足の課題解決に向け、建設会社ならではの視点を生かした、使いやすいアプリケーションとしてHAYA-BENを開発しました。
HAYA-BENは、スマートフォンやパソコン上で学習が可能な“持ち歩ける学習教材”として、教科書や分厚い参考書、ショート動画による教材を完備したものです。
ブースの説明員は、次のように語っています。「建設会社が本気で作ったアプリケーションである。一番のポイントは、学習の進み具合や理解度をリアルタイムでチャート化し、得意不得意を一目でわかるようにするなど、一人ひとりの勉強の進め方に合わせた学習支援を実現していること。特に、この業界での経験の浅い人たちに使ってもらいたい」。

進化を続ける予知保全システム
「予知保全(または予兆保全)システム」とは、現場に作業者が行く前、あるいは行かずに、デジタル技術を用いて機械・設備の故障や事故の予兆を監視可能にする仕組みです。故障や事故が生じるよりも、もっと早い段階で対策をとることで故障や事故を防ぐ事前保全が可能になります。
前回の展示会でも業界関係者の目を引いていた分野ですが、今回も注目度の高いソリューションとなっていました。前年の展示会にも出展していたポンプメーカーの株式会社酉島製作所や、配電・制御機器メーカーの株式会社戸上電機製作所が、それぞれ自社のシステムを紹介していました。
回転機械モニタリングシステム:酉島製作所
酉島製作所の回転機械モニタリングシステム「TR-COM」は、製造業界向けにデジタル技術を用いてポンプなどの回転機械のオペレーションやメンテナンスを支援するシステムです。
ポンプなどに取り付けられた小型センサーを通じて、振動や温度データを取得し、機械の状態を把握します。これにより、収集したデータをもとに機械の異常を早期に発見でき、機械の故障によるトラブルや損失を未然に防止できます。
このシステムには、データの収集方法に応じて「常設型」と「巡回型」の2種類があります。ルーターのような無線ネットワークを接続するゲートウェイを設置する常設型であれば、エンジニアの巡回によるデータ収集が不要です。巡回型でも、エンジニアがポケットにスマートフォンを入れたまま、約30m以内に対象物に近づくことでデータの収集が可能となります。
前年からの進化点としては、センサーの使用数やデータ容量に応じたクラウドプランの設定が挙げられます。容量が0.5ギガバイト(センサー5台で1年分に相当)までは基本機能のみのフリープランとし、50ギガバイトから有料版となっています。
有料版は3タイプあり、顧客が自社でさまざまなデータ解析を行いたい場合はAPI(アプリケーションをつなぐ機能)連携版にするなどの選択が可能になっています。
プランが設定されたことでスモールスタートが可能となり、中小企業などにとっても導入ハードルが下がったといえるのではないでしょうか。

AIで地絡の原因を特定:戸上電機製作所
戸上電機製作所は、ろう電の一種である地絡や微地絡の事故原因を解析して事故復旧作業を効率化する「微地絡・地絡の原因特定システム」を紹介していました。なお、地絡とは飛来物や重機などによる傷や経年劣化による絶縁不良が生じた高圧の配電線や送電線が地面に接触し、電気が流れてしまう現象のこと。微地絡とは地絡の予兆のことです。
同社によると、地絡事故の原因の70%はケーブルの経年劣化によるものとされ、メンテナンスをしていれば防げたケースの多いとのこと。同社の微地絡・地絡原因特定システムは、地絡状態監視装置を通じて、地絡要素の電圧・電流の波形データを取得してAIで解析し、事故原因がケーブルなのか、それ以外なのかを特定する他、地絡事故の予兆を監視し突発的な事故を防止する予知保全を可能にします。

現在、AIを用いた同システムの実用化を目指し実証実験を継続しており、さまざまな波形データを収集しています。収集したデータが蓄積されてきたことにより、AIによるこれらデータの分析の精度が前年から大きく向上しているとのこと。システムの画面をリニューアルするなどの改良も加えられています。
ブースの説明員は、「顧客が最も困っているのは、地絡のような突発的な事故の発生だ。当社のシステムを活用すれば、ケーブル交換を急ぐ必要性が視覚的に理解できる」と、そのメリットを語っていました。
また今年は、監視カメラの画像から色変化を検知してメールで通知する「色変化検知システム」を新たに紹介しました。このシステムでは、工場設備の稼働状況を色で知らせる警報灯の色変化を検知してAIが画像解析し、ひと目でわかるようにするといったことが可能です。映像データを活用した同ソリューションは、設備などの状態の異常や消耗品の交換時期の予測につながるため、顧客の要望を聞きながら用途の開拓に取り組んでいくそうです。
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