デジタル変革(DX)を学ぶ

2025.01.20 15:15

連載◎画像生成AI入門/第2回
想像以上に使える!? 画像生成AIが役立つビジネスシーンとは

 本連載の第1回「画像生成AIとは何か? 種類と特徴を解説」において、さまざまな画像生成AIツールの中から主要な6種について特徴を解説しました。そこで言及した通り、どのツールを選ぶにしても画像生成AIをビジネスで活用する場合には、サブスクリプション契約など一定のコストがかかります。というのも、無料版では生成できる画像枚数などの制約がネックになるからです。

 例えば、OpenAIの生成AIであるChatGPTに内蔵された「DALL-E 3」の無料版では、生成できる画像の枚数が1日あたり2枚に制限されています。成果物の完成度を高めていくには、何度も生成を繰り返すことが必要です。このため、無料版の制約は大きな障害になるわけです。

 DALL-E 3で画像生成枚数の制約を緩和してビジネスで活用するには、有料版であるChatGPT Plus(月額20ドル/日本円で約3000円)を契約しなければなりません。

 もちろん契約には毎月のコストがかかるわけですが、それでも画像生成AIが世界的にビジネスシーン活用されている理由は、相応のメリットがあるからに他なりません。本稿では、DALL-E 3による作例を見せながら、ビジネスシーンで役立つ画像生成AIの活用方法を解説していきましょう。

なぜDALL-E 3なのか

 まず、なぜ本稿ではDALL-E 3を選んだのか、その理由を同AIの特徴と共にあらためて説明しておきましょう。

 前述したように、DALL-E 3はOpen AIが開発し世界的にも最大シェアを占めるChatGPTに組み込まれた画像生成AIです。ChatGPTのインターフェイス内でAIと対話しながら画像を生成できるので、テキスト生成AIを使うのと同じ感覚で使えます。このため、初めて画像生成AIに触れるというユーザーでも扱いやすいと思われます。

 実際の操作は、ChatGPTのテキストボックスでプロンプト(指示)を与える際に画像を出力するよう指示するだけです。テキスト生成や画像生成といったモードを切り替える操作などは必要ありません。
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DALL-E 3のUIは、ChatGPTと共通。条件と共に画像を出力するように指示するだけ

 DALL-E 3が生成できる画像サイズと解像度は、「正方形(1024×1024ビクセル)」「縦長(1792×1024ピクセル)」「横長(1024×1792ピクセル)」の3種類です。長方形であれば、ある程度高精細な画像を作れるので、解像度の低さで困ることも少ないでしょう。

 また、「DALL-E 3が生成した画像の権利はユーザーに譲渡される(*1)」ことが公式サイトで明記されているため、成果物を商用利用するにあたっての懸念事項はありません。ビジネスに使いやすい画像生成AIといえます。
(*1)参考URL:https://help.openai.com/en/articles/6425277-can-i-sell-images-i-create-with-DALL-e
 

 そして、日本語のプロンプトにも高精度で対応してくれることも、DALL-E 3のメリットです。全体的に扱いやすく、大きな欠点がないことを評価して、本連載ではDALL-E 3を用いることとしました。以下では、どのようなシーンで画像生成AIが役立つかを、DALL-E 3による作例とともに紹介します。

画像生成AIが役立つビジネスシーンとは

 利用するAIの種類にもよりますが、画像生成AIが生成できる画像は写真やイラスト、キャラクター、ロゴなど多岐にわたります。今回は、DALL-E 3による作例と共に、4つの具体的な用途を紹介しましょう。

自社WEBサイトに載せるイメージ写真の生成

 自社のWEBサイトを制作する際には、何らかのイメージ写真が必要になることは多いでしょう。外注や自前での撮影、あるいは商用利用可能な写真を借りるなどして対応するケースが多いと思いますが、これを画像生成AIに作ってもらえばコストや時間を軽減できます。

 画像生成AIであれば、写真やイラストなど、さまざまなテイストの画像を生成できるので、バリエーションが広がるという利点もあります。

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4つの条件によるプロンプトでDALL-E 3に生成してもらったイメージ写真

 上記の作例は、「男性がノートパソコンをタイピングしている手元の画像」「斜め上からのアングル」「写真のように描いてください」「横長の長方形で描いてください」という4つの条件を提示し、DALL-E 3に生成させました。最近、ネット上でこうしたテイストの画像を見る機会が増えたのではないでしょうか。

イメージキャラクターのデザイン

 自社や製品のイメージキャラクターを作りたいときも、画像生成AIを活用できます。それこそ、動物でも人物でも、あるいは怪獣でも、多様なキャラクターを生み出すことが可能です。

 下記は、DALL-E 3による作例です。「青色のセキセイインコ」「体は横向き」「顔は正面を向いて笑う」「片方の羽を上げてこちらにあいさつしているところ」「画像は正方形で、背景は白バックに」という条件を提示しました。

 指示した条件にマッチしたかわいらしいイラストを描いて欲しいとリクエストした結果、出力された画像です。なかなか実用的な印象を受けます。

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DALL-E 3が描いた鳥のキャラクター。

ロゴやバナーなどのデザイン

 ロゴやバナーなどのデザインにも、画像生成AIを活用できます。生成できる画像の解像度やアスペクト比には制限があるため、そのまま使える成果物を作ってもらうのはやや難しいですが、デザイン案として利用するには十分です。  生成AIにはたくさんの案を出してもらえるので、その点では人間より優秀といえます。数多くの案から候補を絞り、それをベースにブラッシュアップしていく方法がよいでしょう。

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DALL-E 3が作った「AI」をあしらったロゴ

 次のようなプロンプトで画像を生成してみました。「AIの文字をあしらったロゴを作って欲しいです。円形のデザインで、AIの文字を視認性が高くなるように入れてください。サイバーやインターネット空間を連想させるようなデザインにしてください。 画像は正方形で、背景は白くしてください。」

 このように指示した結果、出力された画像が上記です。半導体や機械を思わせる意匠が取り入れられたデザインに仕上がりました。同じような要領で、スマートフォンアプリのアイコンなども簡単に作れそうです。

 補足ですが、DALL-E 3では日本語の文字を画像に入れることは、本稿執筆時点ではほぼ不可能です。文字を入れたい場合、英文にするようにしてください。

社員の似顔絵を描く

 「自社サイトに社員の紹介を載せたいけれど、プライバシーに配慮して顔写真を掲載したくない」。

 そんな時は、画像生成AIに似顔絵を描いてもらいましょう。画像生成に加えて画像認識にも対応しているDALL-E 3に人物の写真を与えて、似顔絵を描くよう指示すれば、希望のテイストでイラスト化してもらえます。

 アニメ調でも、水彩画でも、油絵でも。イラストの背景やポーズなども指定できるので、個性的な似顔絵を作ることが可能です。

 下記は筆者の写真を認識させて、「この写真を水彩画風のイラストにしてください」と依頼した結果です。Tシャツの柄や背景などは、後からリクエストすれば差し替えることができます。ただし、修正をするたびに他の部分、例えばズボンの柄や髭の濃さ、絵のアングルなどをAIが勝手に変更してくることがあります。修正指示の際には「それ以外の部分は変更しないでください」と、同時に伝えるのがおすすめです。

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DALL-E 3が水彩画風のタッチで描いた筆者の似顔絵

 ここで示した作例は一度の指示でDALL-E 3が生成したもの、つまりAIの“一発描き”です。完成度を高めるには修正を加えていく必要はありますが、それなりのクオリティの画像を生成してくれることを理解していただけたのではないでしょうか。

 ひとつのプロンプトから1枚の画像を生成するのにかかる時間は10秒以下と、非常に高速です。時間の面でのストレスも、まったくありません。

画像生成AIがもたらす確かな効果

 実は、本連載のサムネイル画像(中小企業×DXのトップページに掲載された画像)も、DALL-E 3を用いて生成したものです。この画像は5回ほどの修正で生成できたので、完成までに5分もかかっていません。

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DALL-E 3で作成した本連載「画像生成AI入門」のサムネイル画像

 ビジネスに必要な画像を探す、内製する場合に比べて、明らかに時短できています。これだけのクオリティの画像を5分で生成できるとなれば、画像生成AIがもたらす生産性向上効果を感じていただけるのではないでしょうか。

 ここで紹介した画像生成AIの用途は、初心者でも簡単に取り組めるものに絞りました。画像生成AIの種類やカスタマイズによっては、取り上げた4つの用途以外にも活用することが可能です。
 

ここがポイント!
●利用者が多いChatGPTと同じユーザーインターフェイスで使えるDALL-E 3は、画像生成AI初心者にも扱いやすい。
●画像生成AIは、ビジネスでも使用シーンの多いイメージ写真やロゴなどのデザイン作成に役立つ。
●使い方によっては画像関連業務のコストや時間の軽減が可能である。
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