Copilotアプリ(旧Copilot in Windows)を例に、生成AIについて扱う本連載は、この第8回が最終回となります。今回は、これまでの記事では紹介しきれなかった、“生成AIと対話し、よりよい回答を引き出すためのコツ”について解説していきます。
なお、本稿を読む前に、第7回「生成AIを使おうとして挫折してしまった人は何が悪かったのか?」で紹介した、生成AIを使う前の心構えを知っておくと内容が理解しやすくなります。ぜひ、あわせてお読みください。
※)本連載における検証環境のOSは、2024年9月時点での最新バージョンであるWindows 11 23H2を使用。連載中にアップデートがあった場合、適宜最新のバージョンに更新しています。本稿の執筆は、編集部では2024年10月に確認された大型アップデート後の環境で行っています。
生成AIによる提案は、「ありがち」で平凡なものとなりやすい傾向があります。ですが、そこに人の意見を加えることで、生成AIの思考だけに頼らない成果物が手に入ります。生成AIの提案を鵜呑みにするのではなく、時には自分の意見や感想を伝えてみましょう。
生成AIと人は相互に補完し合う関係にある
連載の最後に伝えたいのは、生成AIとの付き合い方です。筆者の個人的な意見ですが、「生成AIと人は相互に補完し合う関係にある」と考えています。
繰り返しとなりますが、生成AIの出してくる回答は、既存のパターンの組み合わせに過ぎず、完全オリジナルなものではありません。しかし、生成AIはたくさんのアイデアを発案することができますし、人と違い疲れを知りません。
一方、人間は人ならではの発想力を持っていますが、固定観念や先入観にとらわれがちですし、多くのアイデアを出すには産みの苦しみを伴います。
そこで、生成AIと人間が協力する意味が出てきます。まず、たくさんの原案を生成AIに作ってもらい、人間がそのなかから気に入ったものを選びます。そして、自分の意見を伝えながらブラッシュアップを繰り返し、オリジナリティを担保していくのです。生成AIに任せっきりにしてはいけません。人間も同時に動くことにより、最大の効果が発揮されるのです。
生成AIによって人間の仕事が奪われる…といわれますが、それは決して収奪のようなものではないと筆者は思います。むしろ生成AIのおかげで、人間は人がやるべき本来の仕事に集中できるようになるのです。
人間とAIの関係性についてはまだしばらく模索が続くと思われますが、適切な役割分担ができれば、より働きやすく生きやすい世の中になるのではないでしょうか。
読みにくい回答の視認性を上げるには
本連載で、生成AIに文章を要約してもらう様子を紹介した際に、「箇条書きにするよう指示する」ことがおすすめだと解説しました。箇条書きであれば、単純な文章として出力された回答に比べて、視認性が高まり理解しやすくなるからです。
しかし、時に文章形式では視認性が悪く、箇条書きにも適さないといった場合もあるでしょう。そうしたケースで役に立つプロンプト(指示)のテクニックが、「表形式」です。
本連載の第4~5回では、新たな連載企画案を考えていく過程でCopilotアプリに当サイト(中小企業×DX)の読者のペルソナを考えてもらいました。その際の回答(箇条書き)と、表形式にするよう指示した場合の回答を比べたビフォーアフターの画面が下記です。
この表形式で表示させるテクニックは、初めから表形式で答えるように指示してもよいですし、回答が見えにくいと感じた時点で表にするようお願いしても構いません。表形式にすることにより、縦長になってしまった箇条書きもコンパクトにまとまります。
よい回答が出てきた時に生成AIをほめる意味とは
ところで、「生成AIをほめてみましょう」といったら、どう思いますか。おそらく、違和感を感じる方もいらっしゃるでしょう。「人ではないのだから、ほめたところで何か能力が伸びたりするわけではないのでは」と思われるかもしれません。実は、生成AIをほめることにも意味があるのです。
もし、生成AIが出してきた回答が、自分の求めるものと異なっていた場合には、修正を指示するでしょう。では、成果物が理想に近いものだったらどうでしょうか。回答の質について何も言及せず、次の指示へと進むケースが多いかと思います。
そこで、満足のいく生成AIの回答に対して、単に「では、次は〇〇してください」などと返すのではなく、「いいですね!」といった“ほめ言葉”を加えてみましょう。ほめる理由は、現状の成果物がユーザーの理想に近いものであることを、生成AIに伝えるためです。生成AIはユーザーの意図を学習しながら回答を生成していますから、修正点だけでなく、よかった点も率直に伝えるべきなのです。
また、修正点がある場合にも、「〇〇の部分を修正してください。ただし、△△についてはいい感じです」などと再提案を求めつつ、よかった部分をほめるというのが有効です。生成AIにアバウトな修正指示を出すと余計な部分まで直してくることがあるので、手を入れてほしい箇所、そのままでよい箇所を明確に伝える必要があります。その意味でも、部分的にほめることは、効果的なテクニックといえるでしょう。
生成AIにオリジナリティある回答をさせるには
本連載で何度も述べてきたことですが、生成AIは「パターン認識・出力装置」です。生成AIによる成果物は、AIが学習したパターンの組み合わせに過ぎず、オリジナルなものではありません。
しかし、生成AIからオリジナリティを持たせた回答を引き出すテクニックがあります。それは、生成AIに対して、人間が自分の意見を伝えることです。
例えば、生成AIを活用して新たな企画の策定や新規事業の立案などを行う場合、実用的な案として完成させるには、生成AIの提案だけでは不十分です。人間が何かしらの手を加える必要があります。そんな時に、「〇〇にしてみてはどうでしょう?」などと生成AIに意見を述べると、それを取り入れた新たな提案を作ってくれます。
生成AIによる提案は、「ありがち」で平凡なものとなりやすい傾向があります。ですが、そこに人の意見を加えることで、生成AIの思考だけに頼らない成果物が手に入ります。生成AIの提案を鵜呑みにするのではなく、時には自分の意見や感想を伝えてみましょう。
生成AIと人は相互に補完し合う関係にある
連載の最後に伝えたいのは、生成AIとの付き合い方です。筆者の個人的な意見ですが、「生成AIと人は相互に補完し合う関係にある」と考えています。
繰り返しとなりますが、生成AIの出してくる回答は、既存のパターンの組み合わせに過ぎず、完全オリジナルなものではありません。しかし、生成AIはたくさんのアイデアを発案することができますし、人と違い疲れを知りません。
一方、人間は人ならではの発想力を持っていますが、固定観念や先入観にとらわれがちですし、多くのアイデアを出すには産みの苦しみを伴います。
そこで、生成AIと人間が協力する意味が出てきます。まず、たくさんの原案を生成AIに作ってもらい、人間がそのなかから気に入ったものを選びます。そして、自分の意見を伝えながらブラッシュアップを繰り返し、オリジナリティを担保していくのです。生成AIに任せっきりにしてはいけません。人間も同時に動くことにより、最大の効果が発揮されるのです。
生成AIによって人間の仕事が奪われる…といわれますが、それは決して収奪のようなものではないと筆者は思います。むしろ生成AIのおかげで、人間は人がやるべき本来の仕事に集中できるようになるのです。
人間とAIの関係性についてはまだしばらく模索が続くと思われますが、適切な役割分担ができれば、より働きやすく生きやすい世の中になるのではないでしょうか。
ここがポイント! |
●箇条書きにしても読みにくい回答は表形式にして出力させる。 |
●生成AIが理想的な成果物を出してくれた時は、ほめるとよい。 |
●修正指示を出す際にも、修正の必要がない部分をほめることで余計な修正を回避できる。 |
●自分の意見を生成AIに伝えることで、オリジナリティのあるアイデアを作れる。 |
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