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2026.09.18 11:30

補助金解説◎新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
再編・統合で新設!新天地にチャレンジする中小企業を支援

 中小企業に人気のあった「新事業進出補助金」と「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」は、2025年度補正予算で中小企業向けの成長投資支援策として再編する構想が示されていたとおり、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合され、第1回の申請受付期間が9月30日から10月30日18:00までになることが確定しました。

 統合により補助対象となる事業枠や要件などは見直されていますが、補助事業の目的や事業スキームの大枠は継承。事業目的について、公募要領では下記のように記載されています。

 「①技術的革新性のある製品・サービスの開発や②既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、③海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします」(公募要領P6より抜粋、編集部追記)

 その内容から見てとれるように、①は旧ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値枠」、②は旧新事業進出補助金、③は旧ものづくり補助金の「グローバル枠」から引き継いだことが分かります。

 以下、再編された新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(以下、新事業進出・ものづくり補助金)の制度設計や要件、応募申請などのポイントについて公募要領をひも解きながら解説していきます。

 なお、本稿は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金公募要領(第1回)の1.2版(2026年8月改訂)をベースとしたもの。公募期間であっても必要に応じて改訂される可能性があるため、応募申請では最新版を確認してください。

補助対象者

 新事業進出・ものづくり補助金では、日本国内に本社と補助事業を実施する場所のある中小企業や小規模事業者、組合などが補助対象となります。詳細は公募要領に記載(公募要領P17-P20)されています。

 本メディアのメイン読者である中小企業、および小規模事業者については、下表の条件に該当する事業者と定義されています。基本的に、中小企業基本法がベースです。

新事業進出・ものづくり補助金の補助対象者となる「企業または個人」。資本金、または常勤従業員数が表内の数字以下であること(出典:公募要領をもとに編集部で作成)
 
新事業進出・ものづくり補助金の補助対象者となる「小規模企業者・小規模事業者」。資本金または常勤従業員数が表内の数字以下であること(出典:公募要領をもとに編集部で作成)

 この定義に該当する事業者であっても、補助対象外となる事業者(公募要領P21-P24)や補助対象外となる事業(公募要領P25-P26)に関する条件が細かく記載されています。採択後に補助金申請の対象外であると判明した場合、採択や交付決定が取り消されるため、応募申請前に十分に確認しておくことが欠かせません。

3つの申請枠

 新事業進出・ものづくり補助金は、冒頭で言及したとおり2つの補助金が統合されたもの。申請枠は、旧補助事業から引き継ぐ形で「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3種類が用意されました。それぞれの概要は以下です。

革新的新製品・サービス枠

 革新的新製品・サービス枠(公募要領P6)は、革新的な新製品や新サービスの開発を支援するもので、基本的には旧ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値枠に相当します。

 補助率は中小企業が2分の1(地域別最低賃金引上げ特例要件を申請した場合は3分の2)、小規模事業者などは3分の2。補助上限額は従業員数で異なっており、51人以上の場合で最大2,500万円(賃上げ特例要件を適用した場合は3,500万円)です。

 この申請枠は文字通り、革新的な新製品や新しいサービスの開発への取り組みが対象です(新製品・新サービスの提供先は既存市場や既存顧客でも可)。それゆえ既存の製品やサービスの生産プロセスを改善するといった事業、あるいは機械装置やシステムを導入するだけで新製品・新サービスの開発を伴わない事業などは対象外となります。

 また、業種ごとに同業の事業者など(地域性の高い製品・サービスは同一地域の同業他社)において、ある程度普及しているものは、新製品・新サービスの開発には該当しません。

革新的新製品・サービス枠の補助率と補助上限・下限額などの概要(出典:「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」公式サイトから引用)
 
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象経費。赤枠が「革新的新製品・サービス枠」(出典:公募要領をもとに編集部で作成)

新事業進出枠

 新事業進出枠(公募要領P7)は、自社の既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業に進出する取り組みを支援する申請枠で、旧来の新事業進出補助金を継承したものです。

 補助率は2分の1(地域別最低賃金引上げ特例要件を申請した場合は3分の2)です。補助上限額は従業員数で異なっており、101人以上の場合で最大7,000万円(賃上げ特例要件を適用した場合は9,000万円)。補助下限額は、従業員数に関わらず一律750万円となっています。

 対象事業として規定されている新製品・新サービスとは、補助事業に取り組む中小企業などにとっての新規性を意味し、日本初といった社会的な新しさを求めるものではありません。ただし、過去に製造していた製品を再製造するといった事業は、新規性がないため対象外です。

 また、新市場とは既存事業では対象としていなかったニーズや属性(法人/個人、業種、行動特性など)の顧客をターゲットとした市場を指します。

 この申請枠では、後述する審査項目における「新規事業の新市場性・高付加価値性」の考え方が、とりわけ重要です。このポイントをしっかりと理解したうえで、申請準備を進めることが欠かせないでしょう。

新事業進出枠の補助率と補助上限・下限額などの概要(出典:「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」公式サイトから引用)
 
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象経費。赤枠が「新事業進出枠」(出典:公募要領をもとに編集部で作成)

グローバル枠

 グローバル枠(公募要領P9)は、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化への取り組みを支援するものです。旧ものくり補助金のグローバル枠に相当します。

 補助率は3分の2(特例適用はなし)、補助上限・下限額は従業員数で異なりますが、金額設計などは新事業進出枠と同様です。

 同申請枠では、「自社製品を活用した自発的な海外販路開拓」のために必要な国内製造拠点の体制を強化する事業が対象です。既存製品による展開でよいと解されますが、新たな海外市場(既存事業で対象ではなかった国や地域)に自ら進出する必要があります。このため、海外の取引先が主導となる事業は自発的とは認められず、補助金の対象外となります。

グローバル枠の補助率と補助上限・下限額などの概要(出典:「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」公式サイトから引用)
 
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象経費。赤枠が「グローバル枠」(出典:公募要領をもとに編集部で作成)

対象経費のポイントと留意点

 補助対象経費は12区分で構成(公募要領P27-P31)され、申請枠ごとに対象となる区分が若干異なることは先に提示したとおりです。技術導入費や外注費、広告宣伝・販売促進費、海外旅費などでは補助上限額が定められています。その他、区分ごとに細かな要件が規定されています。

 また、公募要領では補助対象外となる経費も明示されており、例えば諸経費や現場管理費といった詳細を確認できない経費、汎用性があり目的外使用になり得るもの(PCやタブレット、デジタル複合機、他)などが挙げられています。

 応募申請する補助事業において、計上されている経費の大半が補助対象外である場合、事業の円滑な実施が困難であると判断されます。そうなると、申請は不採択、あるいは採択や交付決定の取り消しとなることから、申請前には経費構成にも配慮しておくことが必要でしょう。

応募申請に必要な要件

 補助金に応募申請するうえでは、定められた要件を満たすことが求められます。新事業進出・ものづくり補助金では、6つの基本要件と、補助上限・補助率を引き上げる2つの特例措置要件が定められています(公募要領P11-P16)。

 

基本要件

 基本要件は、応募申請者が必ず満たさねばならないもの。企業の成長はもちろん、賃上げや少子化対策など、基本要件には国の方針が盛り込まれています。

(1)付加価値額要件
 補助事業の終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率4.0%(付加価値基準値)以上を見込む事業計画を策定し、事業計画期間の最終年度に達成すること。付加価値額は、営業利益/人件費/減価償却費を足したものです。

(2)賃上げ要件【未達時の補助金返還義務あり】
 補助事業の終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%(一人当たり給与支給総額基準値)以上を見込む事業計画を策定し、事業計画期間の最終年度に達成すること。設定した基準値以上の目標値を、すべての従業員、または従業員の代表者に対して交付申請時までに表明する必要があります。  目標値が表明されていなかった場合、交付決定は取り消され、補助金全額を返還しなければなりません。また、天災などの特段の理由なく賃上げ未達の場合は未達率に応じた補助金額の返還が求められることとなります。

(3)事業場内最賃水準要件【未達時の補助金返還義務あり】
 補助事業の終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内の最低賃金が補助事業に取り組む事業場のある都道府県の地域別最低賃金より30円以上高い水準であること。毎年の事業化状況の報告で実現されていない場合、天災などの一定の理由を除いて、補助金の返還義務が生じます。

(4)ワークライフバランス要件
 「次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)」にもとづく一般事業主行動計画を策定・公表していること。申請締切日までに計画を策定したうえで、情報サイト「両立支援のひろば」に公表することが必要です。

(5)子育て等に関する職場環境に向けた取り組み要件
 子育てなどを支援する職場環境の整備に向けた取り組みを実施すること(3つの実施項目から選択し事業計画に記載)。「くるみん認定」などを取得している場合、本要件は免除となります。

(6)金融機関要件
 補助事業の実施に銀行などから資金提供を受ける場合、資金提供元の金融機関から事業計画の確認を受けていること(確認書の提出)。自己資金のみで補助事業に取り組む場合は提出不要です。

特例措置要件

 特例措置要件は、これを満たすことで補助金額の上限や補助率が引き上げられるもの。ただし、目標値が高くなるため実現のハードルも上がります。未達の場合、補助金の返還義務を伴うため慎重な検討が必要です。

(1)賃上げ特例要件【未達時の補助金返還義務あり】
 補助事業の終了後3~5年の事業計画期間において、基本要件の(2)賃上げ要件の一人当たり給与支給総額基準値に2.5%を上乗せ(合計6.0%以上)、基本要件の(3)事業場内最賃水準要件の基準値に20円を上乗せ(合計50円以上)の両要件を満たすこと。  いずれか一方でも未達の場合、賃上げ特例の適用により引き上げられた補助上限金額分の返還義務が生じることとなります。

(2)地域別最低賃金引上げ特例要件
 2024年10月から2025年9月まで、「同期間の地域別最低賃金以上~2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が、全従業員の30%以上である月が3か月以上あること。

応募申請の手順とポイント

 新事業進出・ものづくり補助金の概要と要件を確認したところで、次に応募申請に向けた流れとポイントを見ていきましょう。補助金申請の全体像と応募申請の作業の流れは下図のとおり。ここでは、応募申請に関わるポイント(公募要領P37)について解説します。

新事業進出・ものづくり補助金の全体像(出典:新事業進出・ものづくり補助金の応募申請ガイドより引用)
 
応募申請の作業の流れ(出典:新事業進出・ものづくり補助金の応募申請ガイドより引用)

 まず、応募申請に向けて補助金情報の確認は欠かせません。公募要領の熟読は必須でしょう。その理解を助ける参考資料として、同補助金の事務局が公開している「応募申請ガイド(第1回)」の併読が役立ちます。ボリュームはありますが、図表が多用された分かりやすいガイドです。

 また、多くの補助金と同様に申請は電子申請システムによる方法です。このため申請には、GビズIDプライムアカウントが必要です。同アカウントは、行政サービスを利用するにあたり法人代表者や個人事業主がシステムにログインするためのものです。

 今や、GビズIDプライムアカウントは多くの補助金などの申請で用いられており、事業者には必須ともいえるでしょう。「gBizIDホームページ」から作成できます。アカウント発行に要する期間は基本的に1週間程度となっています。

 事業計画の作成では、前述の基本要件を満たした補助事業計画書を作成します。その作成では、必要事項を埋めればよいというものではありません。数年先の企業成長を見据え、「どのような課題があり」「その解決に向け、経営戦略・戦術としてどう落とし込むのか」「具体的な取り組みは」といった一貫性が求められます。公募要領にも作成ポイントが記載されているので、参考にします(公募要領P43)。

 “補助金ありき”ではなく、あくまでも“ビジネスの課題を解決することを主眼”としたストーリー性を持たせた説得力のある計画書とすることが、採択のポイントといえるでしょう。

 とはいえ、高品質な補助事業の計画策定など、採択率を上げていくのはなかなか難しいもの。必要に応じて支援機関に相談して、アドバイスをもらうことも一つの方法です。外部からの支援を受け、採択の可否を左右する大きなポイントとなる補助事業計画書の完成度を高めましょう。

 外部の支援機関としては、商工会議所・商工会の無料相談、中小企業診断士や行政書士などの認定支援機関があります。

 準備が整えば、応募申請です。前述したように、電子申請システムから申請者自身が行います。策定した事業計画の内容を含めて、必要情報をシステムへ入力しなければなりません。必要な添付書類(公募要領P39-P40)の提出もシステム経由となるため、応募申請作業には時間を要します。

 それゆえ締切間際などはアクセスが集中して通信遅延やアクセス停滞などが生じる可能性もあるだけに、余裕を持って申請すべきでしょう。

審査項目と採択の勘所

 応募申請の作業は以上です。ここでは、採択率を上げるために審査項目について見ておきましょう。補助事業の計画書策定に際しても押さえておくべきポイントといえます。なお、審査には書面審査と口頭審査があります。

書面審査

   応募申請したすべての事業者に対して実施されるのが書面審査です。採択率に影響する項目は、下記の9項目です(公募要領P44-P50)。特に、(1)から(3)の三つは、すべての申請枠に共通する重要な審査項目です。


(1)補助対象事業としての適格性
 補助対象の要件を満たしているか、補助対象経費は合理的(本当に必要)な金額かといった点がポイント。確実に基本要件を満たしているかがチェックされます。採択の土台となる項目であり、これをクリアできないと他の項目が高得点であっても不採択につながります。

(2)経営戦略との整合性
 これまでの事業活動と経営戦略から、課題は適正か、なぜ課題解決に補助事業が必要かといった点が見られます。補助金がほしいので、事業を計画したというスタンスでは採択率は下がることとなります。

(3)事業の実現可能性
 補助事業に取り組むことで企業が成長し利益を出せるか、具体的な実行性(人材などの体制やスケジュールなど)はあるかといった点が確認されます。

(4)新規事業の新市場性・高付加価値性(新事業進出枠の場合)
 新市場進出枠に応募申請した場合に、審査される項目です。新市場性(社会での普及度や認知度が低い)、または高付加価値性(進出市場で自社製品やサービスが他社よりも付加価値が高い)のいずれかを満たす必要があります。

 参考資料として、独立行政法人中小企業基盤整備機構から「新市場・高付加価値事業の考え方」が公開されています。

(5)公的補助の必要性
 補助金は税金を使うもの。このため新たな雇用を生み出す、あるいは国内地域で需要を創出するといった、国により補助されるべき積極的な理由がある事業は高く評価されます。一方、自社単独で取り組める事業は評価が低くなります。

(6)政策面
 これも(5)と同様、市場成長が見込まれるか、地域への経済波及効果は高いか、産業クラスターと整合するかなど、国の政策目標にどれだけ貢献できるかが問われます。

(7)大規模な賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例の適用を受ける場合)
 特例を適用して、補助金額上限の引き上げを申請した場合に審査される項目です。その実現性が問われるため、賃上げに向けた具体的な取り組み、算出根拠を数値で示すと共に、継続性などを盛り込むことが必要です。

公募要領には、審査で評価される項目とポイント、事業計画書作成の勘所といった採択率アップのヒントが記載されている。熟読必須だ(出典:編集部撮影)

(8)加点項目
 補助事業の内容とは別に、点数が加算される項目です。17項目が挙げられていますが、加点のためには応募申請の締切日に条件を満たしていることが必要です。応募申請のために認定などを得るのは現実的でなく、例えば「健康優良法人」や「DX認定」、「経営革新計画」など、すでに認定・取得しているものがあれば忘れずに申請しましょう(公募要領P46-P49)。

 なお、「パートナーシップ構築宣言」などは、比較的短期間で対応できることから、応募申請に向けて宣言するのもよいでしょう。

(9)減点項目
 加点とは逆に、評価点が下げられてしまう項目です。他の補助事業における賃上げ加点項目の要件未達や進捗遅滞など、多くは過去の補助金への取り組み実績に関わるものとなっています(公募要領P49-P50)。

口頭審査

 一定の審査基準を満たした事業者から必要に応じて実施されるのが口頭審査です。すべての応募申請者に行われるわけではありません。

 所要時間は15分程度で、オンラインにより実施されます。審査内容は、事業計画について、適格性や優位性、実現可能性など、書面審査でも重視されるポイント。申請者は、これらの内容を面接形式で問われることとなります。

補助事業における留意点

 国からの支援であるがゆえ、補助事業にはさまざまな制約や義務、決まりごとが伴います。新事業進出・ものづくり補助金においても留意点はいくつか挙げられており、特に押さえておくべきものを確認しておきましょう。

 不採択、採択・交付の取り消しにつながる留意点として、最も大切なことは申請には申請者事業者(申請者)自身が責任を持って取り組むことです。

 公募要領においても、注意すべき事項(公募要領P1-外部支援者活用時の注意/P37-(2)申請方法の5つ目、他)として繰り返し言及されており、事業計画の作成や応募申請作業は申請者自身で行うよう指摘しています。発覚した場合、不採択、採択・交付決定を取り消すとしています。

 先に言及したように、補助事業はあくまでも事業者が自ら課題を解決し成長していく取り組みの後押しを目的としているためです。そもそも、外部の支援者などが計画書の作成やシステムへの記入を代行した場合、補助事業に対する申請者の思いは伝わりにくいですし、自身で作成していないゆえ取り組みへの意識も希薄になりがちです。

 これに関連して、公募要領では事業計画の重複に言及しています(公募要領P25-⑫/P49-②)。過剰投資を抑制する観点から、他の法人や事業者と同一、あるいは類似した事業など、計画が重複した場合は対象外、または大幅な減点となるとしています。

 外部支援機関、特に民間のベンダーなどを利用する場合、事業計画書の策定を任せる、あるいは言われるがままに作成すると、ベンダーは複数企業を支援していることから内容重複が発生しやすくなります。

 こうした留意点、加えて口頭審査で事業計画について問われることを鑑みれば、申請者自身が計画書の策定や申請入力を実施し、自社の事業を深く理解しておくことが採択率アップにもつながるわけです。

 また、補助金の減額や財産処分の制約にも留意しておくべきです。補助金は採択されたからといって、事業計画に記載した全経費(金額)をそのまま受け取れるわけではありません。交付申請時に精査されたうえで決定されるため、応募申請時に計上した額から減る可能性があります(公募要領P1とP54の補助金額の減額)。

 補助金により取得した財産は、その処分に制限が課されます。処分や補助事業以外で使用した場合、残存簿価相当額などを納付しなければなりません(公募要領P1とP57-P58の財産処分の制限)。

 この他にも事業への事前着手禁止(公募要領P55-事前着手の禁止)や不正行為の禁止(公募要領P3-不正行為の禁止)も順守すべきこと。いずれも不採択、採択・交付決定の取り消しとなります。ここ数年、国の補助金事業では不正行為への対応が厳しくなっており、故意は論外ですが、意図しない不正加担にも注意が必要です。

 以上、新設された新事業進出・ものづくり補助金の応募申請に向けたポイントを中心に解説しました。補助事業は、採択されたら終わりではありません。応募申請作業の労力が大きいだけに達成感はありますが、採択後からが本番です。

 申請枠ごとに事業の実施期間が規定されており、事業の実施報告や5年間にわたる事業化状況報告など補助事業者としてもろもろの義務が課されます。規定期間を超過すると交付取り消しにもなりかねず、採択後の事業実施も見据えた取り組みが求められることとなります。

 
ここがポイント!
●旧新事業進出補助金と旧ものづくり補助金を統合し、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が新設された。
●申請枠は、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3種類である。
●基本要件を満たし、審査項目のポイントを押さえた補助事業計画書を申請者自身で策定・作成することが求められる。
●応募申請や補助事業の実施に向けて「公募要領」と「応募ガイド」の熟読が推奨される。

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外部リンク

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」公式サイト 「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」第1回公募要領 新事業・高付加価値事業の考え方 「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」応募申請ガイド(第1回)
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