お得にデジタル変革(DX)を実現

2023.11.30 18:00

DX・デジタル化を推進するための補助金ガイド
“4大制度”を活用して投資コストを抑制

 中小企業や小規模事業者などがデジタル・トランスフォーメーション(DX)やデジタル化を進めるうえでは、さまざまな課題に直面することとなります。その中でも大きな問題は費用面ではないでしょうか。

●DX推進には相当の投資コストが欠かせない。リソースの制約が多い中小企業は国や自治体の支援を積極的に活用することも検討すべきだろう

 DXへの投資を行うための資金の確保は、その推進が成功するかどうかを分ける大きな要因です。例えば、社内でDXプロジェクトを立ち上げれば、運営費用がかかりますし、パソコンや各種のソフトウェアをはじめ、さまざまなITツールの導入、環境の整備・構築・メンテナンスコストに加え、関連の情報収集・調査、デジタル人材の確保・育成に関する費用なども考慮しなければなりません。

 そうしたコスト面でのネックを解消する一助となるのが、国や自治体の補助金や助成金の制度です。いずれも返済不要の制度であることから、公的資金による支援を利用することでDX関連投資費用の負担軽減が可能になります。

 補助金は国や自治体の予算の範囲で給付される公的資金です。主に経済産業省が管轄しており、中小企業の活性化を目的としています。企業が対象となる事業を実施した際にかかった費用の一部を補助するもので、対象範囲も比較的広いです。ただし、申請すれば必ず補助金をもらえるというわけではありません。

 一方、助成金は主に厚生労働省の管轄で、企業の雇用や労働環境の改善、人材育成などを支援する制度で、概して補助金よりも金額が少なく対象範囲は狭いものの、一定の要件を満たせば必ず支給されます。

 では、DX推進やデジタル化にも活用することが可能な中小企業や小規模事業者向けの補助金や助成金には、どのようなものがあるのでしょうか。

まずは国の「4大補助金」に注目

 補助金の活用では、まず国が予算化している支援制度に注目するべきでしょう。具体的には「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」の4つです。中小企業向けの4大補助金などとも呼ばれています。

 以下では、4大補助金について少し詳しく見ていくことにしましょう。詳細はそれぞれ表にまとめましたので、そちらを参照してください。

IT導入補助金

 IT導入補助金は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する中小企業や小規模事業者を支援する制度です。

 ITツールを導入する経費の一部を補助する「通常枠」に加えて、2022年度から導入された「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠」(デジタル化基盤導入類型)があり、特に後者(デジタル化基盤導入)の枠組みは会計・受発注・決済・ECソフトに特化し、その導入に必要なパソコンやタブレットの購入費用についても補助が受けられます。

 この補助金制度を活用した場合、導入したITツールなどの機能が、DXやデジタル化の推進に対する効果を生み出せているかが重要なポイントになりそうです。

 詳細はIT導入補助金2023(2023年8月1日以降の申請受付分)の事務局(後期事務局)ウェブサイトを参照してください。

ものづくり補助金

 ものづくり補助金は、働き方改革や社会保険の適用拡大、インボイス、DXなど、中小企業や小規模事業者が直面している制度の変更に対応するため、新たな商品やサービスの開発、生産プロセスの改善などのために行う設備投資などを補助するものです。

 「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「グリーン枠」「デジタル枠」などの申請枠があります。

 DXあるいはデジタル技術を活用することによる生産性向上に必要な設備・システムの投資を支援する「デジタル枠」では、補助率3分の2、補助金額は最大1250万円(従業員数21人以上)の支援を受けることが可能です。

 申請にあたっては、基本要件として3つの要件を満たした3~5年の事業計画を策定し、さらにデジタル枠では追加要件が求められることには留意しましょう。

詳細は、この補助金の公式ホームページである「ものづくり補助金総合サイト」を参照してください。

事業再構築補助金

 事業再構築補助金は、ポストコロナの社会を見据えて思い切った事業再構築にチャレンジする中小企業などを支援するものです。DXの推進による新分野への展開や業態転換、事業・業種の転換など閉塞した事業環境から脱却して新たな成長を目指す事業者に適した制度といえるでしょう。

 2023年春の第10回公募から、従来の売上高等減少要件が撤廃され、補助率2分の1/補助金の上限が2000万円(従業員数21人以下の場合)といった形で成長分野での事業再構築を支援する「成長枠」のほか、業況が厳しい事業者への支援となる「物価高騰・回復再生応援枠」、産業構造の変化などにより事業再構築が強く求められる「産業構造転換枠」などが新設されており、ポストコロナにおける、より実態に即した枠組みが構築されているといえるでしょう。

 それぞれの枠の内容や申請方法などの詳細については、「事業再構築補助金ホームページ」を参照してください。

小規模事業者持続化補助金

 小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)とは、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。

 補助対象となる経費の範囲は幅広く、デジタル関連ではウェブサイトやECサイトなどの開発や構築、更新、改修や運用に関連した経費が挙げられます。

 持続化補助金には補助率3分の2/補助上限50万円の「通常枠」の他に、「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の特別枠が設けられています。特別枠は補助上限が最大200万円となっている点で通常枠とは異なりますが、追加要件を満たすことが求められます。

 この補助金の詳細や申請方法については、小規模事業者持続化補助金のウェブサイトを参照してください。

まだまだ他にもある補助金や助成金

 これら4大補助金以外にも、DXやデジタル化の推進にあたって活用できそうな制度はいくつもあります。

 例えば、DXやデジタル化の推進に欠かせないIT人材育成のためのリスキリングなどに使えそうな「キャリアアップ助成金」などは押さえておきたい制度ですし、中小企業のモノづくり基盤技術・サービスの高度化に向けた研究・試作開発などの取り組みを支援する「成長型中小企業等研究開発支援事業」なども有用でしょう。

 また、自治体独自の支援として、例えば東京都では「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」や「サイバーセキュリティ対策促進助成金」(いずれも公益財団法人東京都中小企業振興公社が管轄)、「DXリスクキリング助成金(公益財団法人東京都しごと財団)」といった制度が用意されています。

 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業サイバーセキュリティ対策促進助成金は、ほぼ名称の通りの制度内容です。都内の中小企業が対象で、それぞれものづくり補助金、IT導入補助金「セキュリティ対策推進枠」の東京都版に近いイメージといえるでしょう。

 DXリスクキリング助成金は、都内の中小企業や小規模事業者が従業員のDX推進のための職業訓練(専門知識や技能の取得・向上や、資格取得のための訓練)を実施する際の経費を一部助成するものです。

 この他、自社に適した補助金を探すには中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」などを活用するとよいでしょう。いずれにせよ、DXやデジタル化を推進するために何が必要なのか、そのためにどんなツールや設備・機器、スキルなどが必要なのかを明確にしたうえで補助金や助成金を選ぶことが大切です。

ここがポイント!
●DX推進には相応の投資が必要。リソースが限られている中小企業などにとって、さまざまな補助金・助成金制度の活用はコスト抑制の有効な対策だ。
●まずは「IT導入補助金」「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」の4大制度に注目。
●自社のDXやデジタル化を推進するために必要な戦略や進捗状況を考慮して、適切な補助金制度を選択することが大切である。
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